特別寄稿


今年の神奈川県囲碁界を振り返って

編集事務局

今年も神奈川県アマ囲碁界は、原田実さんの全国アマ本因坊戦優勝を初めとして関東甲信越静囲碁大会での優勝、五大棋戦でのベテラン陣の巻き返し、常にトップ争いを続ける大学生たち、参加者が増え続ける子ども大会、新たにスタートした「毎日アマ囲碁都市対抗戦」「根来杯神奈川ジュニァ十傑選」、等”囲碁王国神奈川"にふさわしく、熱気に沸き返った。

先ず、原田実さんの6年ぶり7回目のアマ本因坊位獲得。特に67歳7カ月という史上最高齢での優勝は、ただただ感服の他ない。我々囲碁ファンに大きな感動を与えてくれた。

五大棋戦は、昨年若手新人に席巻されたが、今年はベテランが見事に巻き返した。
−新春の「神奈川十傑選」では、松本泰男さんが4年ぶり4度目の優勝を飾った。
−「朝日アマ十傑戦」では、新人の石川展行さんが初優勝、甲斐直行さんが準優勝であった。
−「根来杯アマ最強戦」は大学生決戦となり、白石勇一さんが初優勝した。
−「毎日アマ本因坊戦では、芹沢民雄さんが決勝で瀧澤雄太さんを下し、12年ぶり4度目の優勝を飾った。
−「アマ選手権戦」では、芹沢民雄さんが決勝で松本泰男さんを下し、今年2つ目のタイトルを飾った。芹沢さん程の実力者が、7年間もタイ/ルがなかったことが不思議である。見事なカムバックに心から拍手を贈りたい。

大学囲碁界は、神奈川県勢の独壇場であった。「学生王座戦」は阿佐巧さん、「学生本因坊戦」は白石勇一さん、「学生十傑戦」は瀧澤雄太さん、「女子学生選手権戦」では、宇根川万里江さんがそれぞれ優勝した。一宇根'1iさんは、女流アマ選手権戦でも準優勝した。この他、太田匡彦さん、押田牽奈子さんも上位に進出した。

子どもたちの大会も大盛況であった。『ヒカルの碁』の放映が終わってもその勢いは止まるところを知らない。世話役の先生方も、嬉しい悲鳴をあげている。特に、参加者の数が増えるだけでなく、上級者、有段者、タイトル戦への参加が急増していることが特徴である。これは単なるブームではなく子どもたちが着実に強くなってきている証で、誠に喜ばしい限りである。

各地で行われている『囲碁祭りも』参加が増え続け、今や「湘南ひらつか囲碁祭り」や、「湯河原温泉春のたより囲碁大会」は命国的に有名な囲碁のお祭りとなった。

今年、特筆すべきは、2つの大きな棋戦が誕生したことである。先ず一っ目は「毎日杯争奪神奈川県都市対抗囲碁大会」である。都市対抗と言えば、毎日新聞社の社会人野球が有名。この度、同社との共催で本棋戦が誕生した。本棋戦は団体戦であるが何と言ってもその特徴は、ユニークなメンバー編成にある。男女、年齢などに制限を設け、特に子ども3人と女性も加わることで、従来のおじさん中心の大会とは異なり、華やぎと活気
溢れる大会となった。第1回の優勝は、地元「平塚市」であった。

2つ目は「根来杯県ジュニア十傑選」である。「十傑選」は、榊奈川新聞社の新春を飾るタイトル戦である。これも、同社との共催で実現した。第1回の決勝戦は、平塚の金沢兄弟の決戦となり、弟の金沢真くんが見事初代の王者に輝いた。この二つの棋戦は、いずれも当連合会事務局長の山本正さんのアイデアと熱心な運動で実現したものである。又、今年から「毎日アマ本因坊戦」の神奈川代表枠が2人に増員された。神奈川県は人口で第2位、同棋戦全国大会での本県選手の勝率第1位でありながら代表枠は1人であった。どう考えてもおかしいのに、誰も動こうとしなかったが、これも同氏の運動で実現した。山本正さんの時代に則した熱心な活動も、今年の県囲碁界で特筆すべき事柄である。