特別寄稿

ご挨拶
(財)日本棋院 副理事長 加藤正夫九段

日本棋院
副理事長(当時)
故 加藤正夫九段
日本棋院には全国12の県本部と31の県支部連合会がありますが、その中でも神奈川県支部連合会を中心とした神奈川県碁界の隆盛ぶりは群を抜いており、日本棋院にとりましても心強い限りです。
この度、「神奈川囲碁年鑑」の寄稿を依頼され、初めて平成14年度の年鑑を拝見しましたが、その充実ぶりに敬服いたしました。内容、記録はもとより70数頁に及ぶ冊子の編集は並大抵のことではなく、根来会長のもと事務局の皆様の熱意に頭が下がります。
神奈川県支部連合会について語るとき、その礎を築かれた先代の河合会長と、その後を引き継がれ一層充実された根来現会長両氏のご尽力とその存在抜きには語れません。
さて、神奈川県の囲碁界で一番感じさせられることは、子供たちへの囲碁普及に力を注がれているということです。たとえば、先代会長が創設された「河合杯最強戦」が現在「根来杯最強戦」として県下の強豪の大きな目標となっているようですが、この最強戦に今年から「県ジュニア囲碁十傑戦」が併設されたことです。「ヒカルの碁」効果によって青少年の囲碁熱が高まって着ていますが、ジュニア十傑選はまさに時宜を得た企画だと思います。
また、今年の春に初めて開催され、県内10都市から16チームが参加した「第1回毎日杯争奪神奈川県都市対抗囲碁大会」は、全国に先がけたユニークな大会として高い評価を得ています。私もこの企画を耳にしたとき、我が意を得たりと思わず膝を叩いてしまいました。今更記すまでもないことでしょうが、シニア・男性・女性・高校生・小、中学生という世代を越えたというか世代を網羅した7名チームを編成することは、囲碁の世界だけで可能なユニークな企画でしょう。今後、この楽しい心暖まる都市対抗戦が神奈川県のみならず全国に広まってくれることを願っています。
このようにジュニアが各種大会に参加するというそのバックボーンとなっているものは、何といっても県小・中学校囲碁連盟の存在でしょう。先生方の長年にわたる地道な活動があってのことだと思います。
私も8月に日本棋院副理事長という重責を担い、青少年の囲碁普及には力を注いできたつもりでおります。そのひとつに本年日本棋院創立80周年を記念して「小・中学生囲碁団体戦」をNHK、産経新聞社と共催で開催することが決定しています。是非とも神奈川県チームが記念すべき第1回チャンピオンになられんことを祈って降ります。
私たち日本棋院はこれからも囲碁普及には全力を注ぐ所存ですが、今後とも県支部連合会が中心となって、神奈川県の囲碁界のみならず日本の囲碁普及発展の中心的な役割を果たしてくださることを期待しております。