神奈川新聞の読者投書欄「自由の声」から

横浜市青葉区(作家)    桐山健一

囲碁サロンが健康維持に一役

久しぶりに山手線に乗った。つり革に手を掛けて車内を見た。座っている現役の人々の顔には生気がない。半数は寝ている。中にはいびきをかいている人もいる。

厚生労働省がまとめたサラリーマンの健康状態調査を思い出す。企業に義務付けられている定期健康診断で検診数値が「異常あり」とされた人の割合が昨年度、過去最悪の47.3%に上ったのである。「異常あり」が最も多かったのは血中脂質の29.1%で、以下、肝機能15.4%、血圧11.9%などとなっている。原因は、長時間労働による運動不足、遅くまでテレビを見ることからくる寝不足や過食などという。

僕がときどき行く横浜の禁煙囲碁サロンがある。ここで夕方中年のサラリーマンと打った後、談笑した。彼はこの囲碁サロンに来る前に夕食を食べ、帰るとすぐ床に就くという。ぐっすり眠れ、朝はさわやかだそうだ。この囲碁サロンは禁煙で空気清浄機まである。そして、過食防止の役割まで果たしているというのである。

碁は老人たちの趣味だけでなく、現役で働く人々の健康維持のためにも役立っているのだと思った。