特別寄稿


凄い!窪庭孝さんの活躍


日本棋院神奈川県支部連合会 編集事務局

窪庭さんが乗りに乗っている。何と、五大棋戦のうち優勝が2つ、準優勝が2つ、ベスト8が一つである。しかも、準優勝の一つは決勝戦で半目負けであり、もう一つは優勢の碁を大ポカで逆転負けである。全ての棋戦で大活躍し、ランキング獲得ポイントも年間785点となった。強豪ひしめく神奈川県では、今後とも破られる事はないと思われる物凄い記録である。破る者が出るとすれば、又窪庭さんであろう。
窪庭さんが囲碁を始めたのは5歳の頃。父親が10人前後の同好会を自宅(栃木市)で始めた際に、それを近くで見ていて興味を持ったのが始まりである。その後この同好会は栃木県で有名な「窪庭囲碁道場」となったのである。その後10歳の頃から約10年間院生の修行をすることになる。小学校5年の時には中岡二郎先生の内弟子になったが、半年後先生の奥様がご病気になられたため実家に帰り、小、中学生の頃は実家から片道2時間半もかけて日本棋院に通ったそうだ。
現在は、富士通にお勤めで、物流効率化、物流コストダウン、委託会社との連携等、物流に関する業務に携わっておられる。社会人であるから仕事が忙しいのは当然であるが、囲碁の勉強も決して手抜きはしない。全国的にも有名な『明友会(東京)』『棋遊会(藤沢)』『ケンカップ(東京)』等の研究会への参加や囲碁雑誌等の棋譜を並べるなどの努力の他、日本棋院のネット対局『幽玄の間』や、携帯で『碁バイルセンター』を活用してプロの碁を鑑賞しているという。

窪庭さんは過去の成績も並ではない。先ず、全国大会では1986年の世界アマ日本代表決定戦の4位を筆頭に、上位入賞の常連である。
プロにも負けていない。神奈川県民囲碁まつりの公開対局で、神奈川出身の新鋭杉本プロ(現七段)に互先で完勝したことは、多くの方が鮮明に記憶しておられると思う。このほかにも互先局ではアコム杯で菅野昌志六段、小林泉六段などにも勝っている。先番では時本壱九段に逆コミながら勝利し(囲碁ワールド)、2子局では淡路修三九段に(囲碁研究・会員制月刊誌)、2子逆コミながら石田芳夫九段に(日刊ゲンダイ)、3子局では武宮正樹九段に(囲碁・月刊誌)それぞれ勝利している。全てお稽古碁ではなく、アマプロオープン戦であり、新聞雑誌に掲載される公式戦に近いものである。これだけの成績を残しながら、プロになれなかったのが不思議なくらいである。

窪庭さんの全国大会での活躍を、ご実家のお父様を始めご家族は大変喜んでおられるそうだ。しかし、やはりご家族の願いは"全国優勝"のようである。
窪庭さんは囲碁の魅力を、「無限の可能性に惹かれる」。「自由な発想や構想で打てる」と語られる。いまだ43歳、全国大会での優勝も決して夢ではない。そういう意味では神奈川県大会で幾つか優勝したくらいで喜んではいられない。

「私自身も"全国優勝"を目標にして精進したいと思っています」 (窪庭選手談)