トピックス

(1)各地で普及活動を!


<目次>
@小1プロブレム特効薬に囲碁----囲碁を使った小学校入学準備
A囲碁サミット2009----尾道市で開催
B崎市千代ヶ丘小学校----正科3年目の成果
C
川崎市金程中学校入門教室----入門教室
D生活文化普及支援事業始動----川崎市麻生区(学)柿の実学園「柿の実幼稚園」
E平塚駅前に「モニュメント」お目見え
F囲碁クラブ「和(なごみ)」通信のご紹介


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小1プロブレム特効薬に囲碁----囲碁を使った小学校入学準備
小学校に入学したこどもが学校になじめない「小1プロブレム」を防ごうと、東京都葛飾区の『さゆり保育園』では囲碁を導入して効果を上げている。園の出身児童が落ち着いて小学校の授業に取り組むことができることを知り、保育の様子を見ようと周辺の小学校から教員が見学に訪れるなど、教育関係者の注目を集めている。
小1プロブレムは、入学したばかりの児童が集団行動をとれず、授業中じっとして座っていることができなく、教師の話を聞かない‥、という状態が数ヶ月も続くという問題。ある教室ではクラス担任以外にサポート役の教員がいないと授業が成り立たないほど、教育現場を悩ませているという。
この問題の解決のために、園長は趣味の囲碁を子供たちに教えることで、囲碁の効用を活用して問題解決を図ろうと9年前から導入している。
年長組の園児に対し、講座と対局を短い時間で繰り返し、こどもの集中力が切れないように工夫している。子供たちは落ち着いて講義に耳を傾け、静かに対局を行う。教室の初めと終わりは瞑想をして心を静めてもいる。
囲碁を通して、一生懸命やり遂げることや、集中力を持続させること、我慢することなどが自然と身に付き、小学校に入っても新しい環境にすんなりと順応できると言う。
キレるこどもが問題になっているが、ここではこども達の成長のために、囲碁が確かな効果を発揮している。

A囲碁サミット2009 尾道市で開催 
昨年平塚市で初めて開催された、囲碁で"町おこし"を推進する自治体による囲碁サミットの第2回会合が、本因坊秀策の生誕の地、広島県尾道市で開催された。
7月18日、『尾道市民センターむかいしま』に全国10の自治体の長が参集。「囲碁文化の創造、発展、継承に向けて〜」をスローガンに、パネルディスカッションや講演が行われた。平塚市の大蔵律子市長も参加し、意見交換を行った。

B川崎市立千代ヶ丘小学校----正科3年目の"成果" 
囲碁普及の理想形!(麻生ファミリー囲碁倶楽部の活躍)
囲碁を正課として取り入れる学校が増えているが、川崎市立千代ヶ丘小学校はそのモデルケースである。07年に入門講座を開いて3年足らずで、今年は小中学校団体戦の代表校となった。
入門講座は正課である「サマースクール(ハッスルタイム)」の一つとして開かれるもので、今年も水間俊文七段を講師に、7月21日、3年生123名全員が参加して行われた。
川崎等校長は棋歴こそ長くないが、「各教室には盤石があり、休み時間にはこどもたちが自然と碁に親しんでいます。中には校長室に対局しに来るこどももいるのですよ」「考えるということは頭に良いし、碁を取り入れてからは、矢張り礼儀が身に付く。また勉強だけでなく、伝統的な文化や教養も身につけて貰いたいのです」と目を細めて語る。
活動を運営するのは囲碁普及団体『AFIC(麻生ファミリー囲碁倶楽部)』という保護者や地域住民が構成するボランティア団体である。07年4月に指導員2人、事務局1人でスタートしたが、指導員、事務局あわせて40名余りの団体へと発展した。
AFICは囲碁を教育の一環として位置づけ、こどもと指導者の棋力向上を目指しており、こどもたちに県大会など大会への積極的な参加を促している。
設立当初から携わる高嶋美佐姫さんは、「こどもたちの楽しそうな姿を見ると、癒されますね」と笑顔で語る。
こども、保護者、教師、地域住民が一体となった、囲碁普及のひとつの理想形が出来上がっている。

C川崎市立金程中学校----入門教室 
(麻生ファミリー囲碁倶楽部の活躍)
中学校の体育館と碁盤碁石。全く似つかわしくない場所と道具が融合し、スケールの大きな入門教室が行われた。
9月10日(土)、川崎市立金程(かなほど)中学校の体育館には、1年生157名と先生たちが集まった。生徒たちの手元には9路盤が用意され、入門講座が開始された。
同校では昨年初の試みとして特別講座が開かれた。講座開催に当たっては前田高幸校長のご理解と、AFICによる協力が大きい。
同校出身の木下かおり囲碁インストラクターの指導の下に囲碁の歴史やルール説明が行われたが、生徒たちは小学校の時に碁に触れており、理解が早く、早速体育館半面に列を作っての対局に移った。
ここで活躍したのが地元指導員9名と、在校生3名の指導員。体育館は笑顔と真剣な表情が交差して、独特な空間が作られていた。

D生活文化普及支援事業始動----川崎市麻生区の学校法人柿の実学園「柿の実幼稚園」
文化庁の「生活文化普及支援事業」(みんなで学ぶ楽しい囲碁入門教室)がスタートした。(囲碁将棋など六部門が対象で、伝統文化の親子教室がテーマ)
その呼びかけにいち早く応え、早速実現したのが同幼稚園の「親子囲碁教室」。この幼稚園は、園児が何と1300人というマンモス幼稚園である。
9月12日(土)、300人を越す親子がホールに集まり、「親子囲碁入門教室」が始まった。
最初の小島澄人園長のご挨拶に続いて、指導棋士を代表して依田紀基九段から、「私は小さい時、本当に学校の成績が悪かった。でも、その後碁を覚えて、そこからいろいろな事を学びました。そのおかげで、今では少しましになった気がします。皆さんも是非この機会に碁を覚えて下さい。人生できっと役に立つはずです」と挨拶があった。
引き続き依田九段、酒井猛九段を始めとする7人のプロ棋士、多数の地元インストラクターの指導の下、石の取り方を覚え、あっという間に実戦が打てるようになった。
小島園長「今回の親子囲碁入門教室は、おじいちゃんの参加もありました。これは家族全員がいっしょに楽しめる大変素晴らしいことですね。私も他の先生たちと囲碁教室に参加しましたが、楽しかったですよ。今回を入れて4回、生活文化普及支援事業として親子囲碁教室が行われますが、その後も続けていきたいですね」と語っていた。
(注)「生活文化普及支援事業」(みんなで学ぶ楽しい囲碁入門教室)‥次代を担う子どもやその親等を対象に、わが国の伝統的な文化のうち、国民の生活に長く親しまれ定着している生活文化に触れる機会を提供するもの。公募により選定した団体等に事業を委託し全国で幅広く普及事業を展開する。

E平塚駅前に「モニュメントお目見え」 
JR平塚駅北口の駅前広場に、「囲碁のまち・ひらつか」を発信するモニュメントがお目見えした。
平塚は、現代の囲碁界を代表する数多くの棋士を育てた故・木谷實九段(1909〜75)が道場を開いた地。囲碁を貴重な文化資源とする市が、木谷九段生誕100周年を記念して製作した。
モニュメントは、高さ2.6メートル、幅1.3メートルで、中心に碁盤を再現し、マグネットの碁石が自由に置ける構造になっている。その上下に碁石の丸みを表現した看板を取り付け、囲碁のまちひらつか」をアピールしている。
説明文では、木谷九段が全国から才能豊かな子どもたちを自宅に招き、70人近くの弟子を育てた功績などを紹介している。
制作費は約190万円。市では「囲碁文化振興に関する掲示など、多様な情報を発信していきたい」と話している。

F囲碁くらぶ「和(なごみ)」通信のご紹介----(046-273-4055)
中央林間駅前にある囲碁クラブ「和」では、毎年ユニークな会報を発行している。囲碁の催しに関することは勿論のこと、お客様の囲碁以外の趣味なども紹介し、カラーで8ページ、楽しいコミュニティ誌の感じに仕上がっている。全部は紹介できないが、巻頭言だけでも、ご紹介します。
巻頭言
職場のOBのグループなどが数組、定期的にここに集まってくれる。
気心を知り合った同好の仲間が仲睦まじく冗談を言いながら打っている様子や、低級者を指導している様はそばで見ていても微笑ましい。
囲碁が終わった後は近くの居酒屋で一杯やっていくのだろう。これが又楽しみのようだ。
常連同士が今度はいつ来るのと話し合っている。菜園をやっている人が親しくなった碁敵に野菜や苗木を届けてくれる光景を見かける。
写真や絵画を趣味にしている方が作品を持ってきてくれ、時には自宅の庭に咲いた花を届けてくれる女性がおられる。
女性を中心とする囲碁サークル「萌会」のメンバーの一人鈴木恵子さんの指導で「萌会書道部」が発足したことは以前紹介したところだが、リーダー光村紀子さんから「習うだけでなく皆にも見てもらう発表の場を持とう」という提案があった。メンバーの大半はこの企画に尻込みしていたが、「展示会を目標にすることが励みになる」と、半ば強引にこの展示会が発足したのが2年前。「自画自賛展」とネーミングしたところが奥ゆかしい。
この6月3日から1週間つきみ野の学習センターで第2回目の会が開催された。書道の掛け軸の表装を器用に作る方がおられたり、割り箸を使った書など、書といっても様々な工夫が施されているのに感心しきり。色彩豊かなパッチワークのポーチや厚紙を使って日本や世界の著名な建造物の模型の制作などユニークな作品が並べられた。更に男性陣からも絵画、写真、刻字などプロはだしの作品が出展され書道で始まった「自画自賛展」は賑やかな会となった。出展数も増え、書道はメンバーの旺盛な向上心と指導者の熱意により、前回に比べて格段の進歩。
この会場には碁盤が用意され、メンバーの方が、お見えになった囲碁愛好家と対局してくれる。詰碁コーナーが設けられているのも嬉しい。
日頃盤上では気難しそうで無口な男性が、反省会ではいつになく饒舌な一面をのぞかせ、女性陣を喜ばせてくれる。それぞれが作品の感想を述べ合って和気藹々。「大変だけど又頑張ろう」という思いが伝わってくる。
「談論風発飾りのない和める空間」をモットーに開所して丁度6年になるが、こんな形で交流が深まることは望外の喜びだ。