石原康佑選手、堂々の優勝

 2010年3月29・30日、さいたま市「ラフレさいたま」に全国14地区の代表32名が日ごろ鍛えた腕前を競った。スイス方式5回戦を戦い、本県代表の石原康佑くんが、初出場ながら堂々の初優勝を飾った。

 この大会は夏に行われる少年少女大会と並んで、全国のこども棋士には大きな目標となっている。歴代優勝者には、現在プロ碁界で活躍する若手が並ぶ。開会式では第1回の優勝者井山裕太名人からのメッセージが披露された。

 「どの対局も熱戦ばかり。レベルも高いですよ」と、本大会を主催する全国こども囲碁普及会の代表・菊地康郎さんは目を細めた。「今年は本命不在の印象です。去年までの有力選手が卒業して、今回は32人中21人が初出場。新しい顔が揃いました。碁を覚えたこども達がどんどん強くなっている。新陳代謝が上手くいっている証拠でしょう」。

 石原くんは小学4年生のときに碁を覚え、アマ強豪の永代和盛さんの下で腕を磨いた。中学校に入って一時期日本棋院の院生としてプロ修行も経験しており、実力は筋金入り。だが優勝までの道のりはたやすくなかったようだ。1回戦は序盤から苦戦を強いられ、粘りに粘ってヨセで逆転。2、3回戦は優勢ながら作り碁であり、神経を使う勝負が続いた。4回戦の平野佑騎くん(東日本)との一局がハイライトであった。形勢微細のまま最終局面にもつれ込み、石原くんは「半目負けか」と思っていた。ところが半コウ争いで相手がコウ立ての受けを誤り、石原くんが半コウを勝って辛くも半目を残した。まさに薄氷の勝利であった。 決勝戦は大表拓都くん(北陸)と対戦。期待にたがわぬ大熱戦は、棋譜でご覧下さい。

 「優勝できて嬉しい。左下を生きられては悪くなったと思った。その後難しくはなったが、勝てたと思ったのは最後の最後でした。大会前に自分で決めたテーマどおり、後半までしっかり打つことができました」と石原くんは笑顔で語った。

ゆうちょ杯第13回ジュニア本因坊戦

 白  石原康佑(神奈川) vs 黒  大表拓都(北陸)----白2.5目勝ち