トピックス
    
各地で普及活動を!


目次
@平成21年度普及活動賞
A神奈川県議会で囲碁倶楽部を結成
B
事業仕分けで、「伝統文化こども教室事業」が危機!
C
「栄こども  おとなの大会」
D
91歳、努力の花咲く!
E
囲碁普及で感謝状
F
特別功労賞----日本棋院より
G
普及には13路盤を
H
役員交代・組織変更
I
碁会所・日本棋院支部の動静
J
プロ棋士誕生
K
白石勇一三段、新人王に輝く!
L
ちょっと面白い話

 
@平成21年度 普及活動賞 
 日本棋院の支部活動に留まらず、県囲碁界の普及や入門者・初級者の育成に貢献した方を顕彰する『普及活動賞』。21年度は県内の次の方々が受賞された。
甲斐寿子(湘南支部)、神部武夫(永井会支部)、永代和盛(港北支部)、塩坂福徳(碁席玄玄支部)、村越正敏(厚木支部)

A神奈川県議会で囲碁倶楽部を結成
 2月25日、神奈川県議会で囲碁倶楽部が結成された。昨年から囲碁を趣味とする有志議員によって囲碁倶楽部結成の話が進んでいたが、この日26名の県議会議員の参加により結成の運びとなった。
 結成総会では、名称、規約、事業計画などを決定するとともに、会長に関口正俊(四段・栄区)、副会長に森正明(平塚市)、田中肇(金沢区)、相原高広(麻生区)、幹事長に横山幸一(三段・鶴見区)の役員を選出した。また、顧問には日本棋院の岡信光七段が就任した。
 関口会長は「これから囲碁を覚えようとする議員も多いが、神奈川県の囲碁レベルは全国的にも高い。広く県民に親しまれている頭脳スポーツを普及していくとともに、全国の議員との交流会なども開催していきたい」と抱負を語った。

B事業仕分けで、「伝統文化こども教室事業」が危機!----三浦市子供囲碁教室の例
 日本舞踊、華道、和太鼓などの伝統文化を小中学生に教える教室に国が補助する「伝統文化こども教室」が、政府の行政刷新会議の事業仕分けで「国の事業として実施しない」との結論に達した。対象団体は危機感を募らせており、全国から事業存続を求め千通を超える要望書が文部科学省に寄せられている。
 8年前に開講した「三浦市子供囲碁教室」は、市内3ヶ所で中学生以下の子どもたち約60人に囲碁を教えている。アマ名人に輝いた常石隆志さんはこの教室の出身である。(昨年度囲碁年鑑参照)この教室は中山弘理事長と囲碁仲間がボランティアで運営し月謝は無料。開講当初はダンボールの手作り碁盤で始めた。
 市からは教室を開く公共施設の利用料を免除してもらう援助を受けているが、市の財政が厳しいことから補助金は見込めず、国の伝統文化こども教室事業の存在を知り、6年前から利用してきた。毎年約20万円の補助を受けて棋具をそろえたり、プロの指導を受けるための費用とし充てたりしてきた。
 この補助事業は2001年に設立され、2003年から実施しているが、事業仕分けでは「伝統文化は地方のほうが良く知っている。国がやる必要はない」と、国の事業としては行わないことになった。
 中山理事長は「保護者からはもっと活動を広げる要望があるが、補助がなくなればこれ以上できない。指導の質も落ちる。補助を減額しても継続を考えてもらいたい」と訴えている。
 国の財政が厳しい折とはいえ、何とかならないものでしょうか。公がダメなら、どなたか篤志家はいらっしゃらないでしょうか。

C「栄こどもとおとなの大会」
 毎年「海の日」に行われる第6回大会が7月19日に横浜市栄区の栄公会堂で開かれた。級位者を対象に、棋力別4クラスに分かれ4回戦対局し、成績により棋力が認定される。園児から80歳までの選手と役員、合計100人が参加した。女性も10数人参加し、3世代が交流する和やかな雰囲気の中で熱戦が展開された。
 父親と一緒に参加した5級の横谷遥晃くん(市立桜井小6)は1年生の頃学校のキッズクラブで碁を覚え「面白そうなので教室に通うようになりました。石を取るのが楽しい。お父さんにはいつも勝っています」と話していた。
審判長を務めた日本棋院横浜栄支部長の肥塚淳次さんは「支部会員の増加は本会の活動がベースになっています。これからも益々増えることでしょう」と喜びの表情。
 栄区では区内に住むアマ有段者の有志が集う「栄区囲碁普及会」(杉浦次利会長)の尽力により囲碁の愛好者が増えている。現在の登録会員は88人。一つの市区町村で普及活動だけを目的としたこれほど大規模な市民団体は全国でもあまり例がないそうだ。
 普及会は囲碁の普及を通して子供の情緒教育とお年寄りの健康維持を図ることを目的として、2001年に設立された。会員たちは年会費を納め交通費などの諸経費も自前と言うボランティア。
区内の6小学校と地区センターなど7ヶ所で入門・初級教室を開き、会報「さかえの石音」を発行している。「自分がただ楽しむだけでなく、囲碁の素晴らしさを1人でも多くの人に教えたいという生きがいですね」と杉浦会長。
日本棋院横浜栄支部は今年三月、09年度の支部会員増加ベスト2位(40人増)となり、日本棋院から表彰された。支部会員数も神奈川県内のトップである。

D91歳 努力の花咲く!----横浜市栄区段級位認定大会
 8月22日、横浜市栄区の本郷地区センターで、日本棋院横浜栄支部主催の段級位認定大会で昇段、昇級した28名に認定授与式が行われた。
 中西副支部長の「認定状の取得により自分の棋力を堂々と言えるようになる。これはとてもたいせつなことで、自信を持って囲碁を楽しみましょう」との挨拶があり、岡信光七段から一人ひとりに認定状が授与された。
 なかでも今回二段を取得された高橋清さんは1919年(大正8年)生まれの91歳。退職後の65歳のとき生まれて初めて碁石を持った。最初は町内会の囲碁倶楽部で楽しんでいたが、6年前に発足した栄区囲碁普及会の教室に通うようになってから、めきめきと上達した。海外にも遠征するなど人一倍の勉強熱心さで、6月には念願の入段を果たし、今回2度目の挑戦で二段に昇段した。
 高橋さんは「ボケ防止のために囲碁を始めたが、新しい仲間との出会いがあり充実した老後を送っている。昇段も励みになる。世話役の皆さんに感謝したい」と顔をほころばせて語っていた。

E囲碁普及で感謝状----川崎市立千代ヶ丘小学校
 同校の囲碁普及活動とそれを支えるAFIC(麻生ファミリー囲碁クラブ)の活躍ぶりは、本誌でもたびたび取り上げているが、このたび同校と川崎校長が日本棋院から普及に貢献したとして、感謝状を贈呈された。
 贈呈式は10月6日、日本棋院の平野則一普及担当常務理事が同校の囲碁の授業を訪問して行われ、子供たちからも祝福された。日本棋院による小学校への感謝状の贈呈は珍しい。
 2004年4月に同校に着任した川崎校長は「子供たちに考える力が身につく」と、06年には初めて3年生全員が対象の入門講座を開催。活動が広がり、全学年を対象として月3〜4回開催される「放課後囲碁教室」、07年に「囲碁クラブの創設」、「ハッスルタイム」(サマースクール)などを行うまでに至った。月1回行われる「定例会」には他校の小学生も参加しており、同校が囲碁普及の拠点となっている。
 プロ棋士を招いてマナーや基本ルールを学ぶ特別講座を設け、09年度から授業扱いとした。毎年8月に開かれる文部科学大臣杯少年少女囲碁大会の小学生の部県代表に、同校の児童が2年連続で選ばれるなど、成果を上げている。また放課後、地域の子供たちに囲碁ができるよう門戸を開いている。囲碁の面白さについて、勝山将太くん(小3)は「石を取って勝つこと」。金子千紗ちゃん(小4)は「頭を使うこと」と元気に答えていた。
 贈呈式で平野常務理事は「伝統文化である囲碁を教育の一環と位置づけ普及に尽力した」と感謝。川崎校長は「地域の支えがあったからこそ、受賞することができた。今後もより開かれた学校づくりをしていきたい」と抱負を語った。

F日本棋院より特別功労賞----平塚市の大蔵市長に授与
 湘南ひらつか囲碁祭りの終了後に行われた懇親会で、長年の囲碁普及に尽力された大蔵律子市長に、日本棋院から「特別功労賞」が贈られた。
 特別功労賞は平成22年3月に新設された。囲碁普及活動に顕著な功績をあげ、囲碁文化の高揚に多大な功労があった方や団体に贈られる賞である。囲碁普及の功労者の表彰にあっては、大倉喜七郎賞に続くものと位置づけられている。
「この賞は私個人がいただいたものではなく、長い間囲碁のまち平塚にご尽力いただいた関係者をはじめ市民の皆様全員に贈られた賞だと思っています。受賞を契機に、誰もがいつでも楽しめる囲碁の町平塚を目指していきたい」と大蔵市長は語った。

G普及には13路盤を! ----台湾では「張栩杯」が誕生
 皆さん、普及活動に13路盤を活用していますか。筆者(松本)は入門初級のレベルの方には、13路盤が最適だと思うのです。9路盤からいきなり19路盤では、どこに打って良いか分からず、結局端っこから順番に石垣を築くようにぎしぎしと石を並べていくことになります。そして、いつまで経っても終わりません。
 そこで、台湾で始まった13路盤普及の話題をご紹介します(日本経済新聞「芸分余話」より)。
 《本文略》

H役員交代・組織変更 
横浜市囲碁連合会 役員改選
 平成22年度総会が、「反町囲碁クラブ」で開催され本部役員が改選された。【会長】秦奎四郎(新)【副会長】平松勝利(再)、金子公一(新)、宮島満希子(新)秦新会長は「今後益々囲碁の普及に努めたい」と抱負を語った。総会では、トップクラスを対象とした個人戦や、級位者の棋力向上を目的とした棋戦などが新たに提案され、同時に予算なども承認された。
神奈川県小学校囲碁連盟 活動休止
設立から10年余りが経過し、「子どもたちの囲碁普及への一定の成果」を上げてきたが、最近運営スタッフの確保が困難になり、活動を休止せざるを得なくなってきた。
なお、今後の大会は全て中学校囲碁連盟が引き継ぐ。
三浦半島少年少女囲碁連盟 発展的解散
諸般の事情により発展的に解散し、全ての業務を出身母体である横須賀囲碁連盟が担当することとなった。引き続き横須賀囲碁連盟のこども囲碁普及活動にご支援をお願いします。

I碁会所・日本棋院支部の動静 
「横浜囲碁センター」経営者交代----横浜駅西口 045-311-9115
 従来西谷謙三さんが経営してこられた「有心」は、6月16日より、経営者が加藤次雄さんに交代し、店名も「横浜囲碁センター」と改称された。「横浜囲碁センター」は引き続き、神奈川県囲碁連盟の主催する『世界アマ選手権戦』『ブロック戦』等の会場にもなる。なお、日本棋院支部も「横浜囲碁センター支部」に改称された。
「囲碁サロン慶」は「囲碁サロン湘南」に名称変更----藤沢駅南口 0466-50-5234
※従来の「囲碁サロン慶」は「囲碁サロン湘南」に名称変更された。「囲碁サロン湘南」は引き続き『神奈川十傑選』の会場となる。は変わらず。また、新たに同サロン内に「日本棋院湘南藤沢支部」が発足した。 (支部長 北尾昌子  連絡者 佐々木 慶)
従来の「綱島囲碁クラブ」は「綱島囲碁サロン」に名称変更----東横線綱島駅 045-772-5811
 サロン内の「日本棋院港北支部」は「日本棋院スターナイン支部」と名称を変更した。
  
Jプロ棋士誕生----常石隆志アマ名人、孫普iソン・マコト)さん、プロ入り 
 日本棋院の棋士となるための冬季棋士採用試験で、三浦市在住の常石隆志さん(19)と鶴見区在住の孫浮ウんがプロ入りを内定した。冬季プロ試験は16人の総当たり戦で行われ、上位2人が合格するが、神奈川勢の2枠独占となった。正式には日本棋院常務理事会などを経て決定され、23年度採用となる。神奈川県内出身者の入段は、16年には白石勇一三段=22年新人王、18年には金沢真二段、20年にはなんと大渕浩太郎初段と稲葉貴宇初段の2名、21年には沼館沙輝哉初段と、殆ど毎年のように入段者が続いており、お二人もこれに続くプロ誕生となった。

 現アマ名人でもある常石隆志さんは断然トップの14勝1敗でプロ入りを決めた。常石さんは日本棋院準棋士・小林孝之三段の門下。13歳のころ、師匠の勧めで日本棋院の院生となり、プロ試験は通算5度目の挑戦。年齢制限のため20年の11月で院生を辞め、21年と22年は一般のアマが参加する「外来予選」を勝ち抜いて本戦に進んだ。昨年は史上最年少でアマ名人を奪取し、一躍アマ囲碁界に勇名をとどろかせた。更に今年アマ名人を初防衛した事は、本誌特集記事にも掲載した。4月からは2ヶ月ほど韓国に武者修行に出掛けるなど、研鑽に努めてきた。小学生時代に手ほどきをした師匠の中山弘さん(74)は、「浮かれることなく精進し、大きく成長して欲しい」と喜びを語る。
常石さんは「長い道のりでした。今はほっとしています。当面は年間30勝を挙げることを目標にし、将来は世界戦に出場したい。井山裕太名人のようなプロになりたい」と目を輝かせて喜びを語っていた。

孫浮ウんは横浜市立矢向中の3年生。萩原睦七段門下で、小学3年の頃から院生としてプロ棋士を目指してきた。今回の採用試験は本当に奇跡のような合格であった。最終局を前にして孫さんは9勝5敗、最大のライバルは10勝4敗、つまり最終局では孫さんが絶対に勝たなければならず、なおかつライバルが他人に敗れた場合のみ、院生序列で孫さんの合格となるのである。しかし、まるでドラマのように奇跡が起きた。孫さんが勝ちライバルが敗れたのである。(結果的に10勝5敗が3人出たが院生序列で孫さんの合格となった)。孫さんは「14回戦の直接対局で敗れて殆どあきらめていたので、運が良かった。ほっとしています」と語っている。6年間は長かったであろう。しかも、ここ数回の入段試験では惜しいところで合格を逃しており喜びもひとしおと思われる。「尊敬する棋士は井山裕太名人。世界に通用する棋士に成長して活躍したい」と、ここまでは常石さんと同じだが、「常石さんが年間30勝を目標にするなら、同期生には負けたくないので、それ以上を目指します」。その意気や良し。

K白石勇一三段、新人王に輝く!
 若手棋士の登竜門、第35期新人王戦で、本県出身の白石勇一三段が堂々新人王に輝いた。決勝戦まで勝ち進んだ白石三段は、三谷哲也六段との決勝三番勝負に臨み、初戦を落としたものの、続く2番を連勝し、逆境に強い粘り強さを発揮した。
 白石三段は、中央大学に入学したあと入段した少数派の棋士。通常は、小学校のときからプロを目指す。白石三段は平成13年の高校選手権で優勝したときにプロへの道を意識したそうだ。棋士になってからの成績はあまり振るわず、「自分はトーナメントで活躍できるのだろうか」と不安になったこともあったらしい。そんな心配を払拭し勇気付けてくれたのが、同じ大学出身で名人戦リーグなどでも活躍している、坂井秀至碁聖の存在である。「まわり道をしても実績を上げられることを証明していただき、励みになりました」と語る。
 白石三段は自分の棋風を、「序盤はあまり得意ではありません。粘り強く食い下がってチャンスを待つタイプです」と謙虚に語る。しかし、第3局ではその不得手な布石でリードを奪って、見事に新人王に輝いた。白石三段は今年26歳になるので、出場資格が25歳までの新人王戦は、今年がラストチャンスだった。
 新人王獲得をお祝いして、10月24日には白石三段が入段前研鑽した『みのる会』の原田実・名誉アマ本因坊をはじめ、13名の会員や友人が参集して、祝賀会が開催された。

Lちょっと面白い話 
 《本文略》